ブラジル・ゴイアス州・アナポリス市、陶芸および農場の活動状況紹介、最近、陶芸工房を設置することになりました。

製作工程

製作工程

陶器は、数段階の工程を経て漸く顔を見ることができます。
当窯の製作工程は下記の通りです。

1. 粘土採取
2. 粘土寝かせ(1ヶ月程度)
3. 粘土攪拌
4. 不純物除去(有機物、砂、小石等)
5. 沈殿(1ヶ月程度)
6. 脱水
7. 粘土寝かせ(1ヶ月程度)
8. 粘土練
9. 粘土寝かせ
10. 整形
11. 乾燥
12. 削り
13. 乾燥
14. 削り
15. 乾燥
16. 薪採集
17. 薪割りおよび整形
18. 窯入れ
19. 燃焼
20. 窯だし
21. サンドペーパーでの削り
22. 水洗い
23. 製品化(陳列・包装)
24. 販売

まあ兎に角、工程が多すぎます。
日本だと製品を買えばいいのだろうけど、此処は、購入粘土を除き全て自前です。と言っても粘土は、煉瓦を作る粘土と同じものが来るから、精製が必要です。ちなみに薪も自前です。

これだけ全て自前というのはそんなにないかも。
それだけに全体がゆっくりしてると言う欠点がありますが・・・。

本当に手間のかかる工程です。この内、粘土精製が製品の出来栄えの重要な鍵に・・・。可能な限り不純物、砂、小石等を取り除き、均一化することが重要な様です。当然、その後の工程でも手を抜くと大変なことになるようです。

まだ始めたばっかりで学習学習の日々ですが、何とかしっかりした製品がブラジルでもできるように頑張ります。

ここは全て手作業に加えまだ施設も整っていませんので、上質の粘土作りが当面の課題かも知れません。粘土練機は、近くの人から中古を譲ってもらったけど、でもしっかり練られているかどうか心配です。

粘土採取

粘土は、3種類、この農場の粘土、この町の粘土および近くの町の粘土を使ってます。どうも鉄分が多いようです。原料となる粘土の採取場所は以下の通りです。

農場の粘土
農場には粘土帯層が広く広がっており、植物を植えても中々生育しない地区があります。大体、3000m2ぐらいの広がりのところで白質の粘土が採取できます。どうも耐火性の強い粘土が分布してる様です。後、まだ表層から採取しているため、砂・砂利が混ざっており、これを取り除くのに多大な時間が必要です。現時点では農場の環境保護の問題もあり、僅かしか使っていません。

アバジアニア粘土
アバジアニアは煉瓦生産地区であり、多くの粘土が産出されています。黒粘土が多く分布しており、粘土の純正度は高いようです。アバジアニアは聖地として有名ですから此処の陶器にもその精霊が宿るように可能な限り多用するようにしております。

アナポリス粘土
アナポリスは、昔、ブラジリア建設のベースとなった町であり、ブラジリアの煉瓦の多くを生産した町です。今でも、多くの煉瓦工場が活動しており、粘土を産出しているところは多く有ります。まあ粘土の性質は、当農場の粘土と似てるようです。

その他粘土
粘土は可能な限り多くのところから入手するように努めており、この中で一番いい配合を見出していく予定です。粘土にも本当に色んな種類があるようです。

粘土寝かせ

購入した粘土は、工房の片隅で充分に寝かせておきます。どうも鉄分が多いようなので寝かせて、鉄分を少し少なくする必要があるような気がしてます。後、この近辺には金も多く有るようですから、金が出てこないかという淡い期待も有ります。余談ですが、この農場の近辺では昔から、金の母と呼ばれる淡く光る物体が時々飛んでいるという噂もあり、金が有るのではないかという淡い期待も有ります。

粘土攪拌

粘土攪拌は、コンクリートミキサーを使ってます。将来はしっかりした施設整備必要でしょうが、現時点では、簡易施設にしています。コンクリートミキサーは力が強いので、粘土攪拌は充分できるようです。

不純物除去

粘土の中には、植物の根、小石、砂等が混在しており、陶芸用の粘土とするためには、これらを除去する必要があります。こっちも非常に簡易な施設ですが、近くの町から網を買ってきてそれで濾していますが、上質にするためにはどうも更に細かい目の網が必要かも。牛乳を濾す網が有るけど、これだとどうも濾すのに時間がかかりそうです。この細かい網に篩の施設がつけられたら、もう少し上質の粘土を生産できるかも。

沈殿

沈殿槽は、不純物を除去した粘性水を溜め、天日にて蒸発させています。設計を間違えたようで、タンクの底もコンクリートを張ったため浸透せず蒸発の部分だけで水分を少なくしてます。やはり底の浸透も必要ですので、現在、タンクの底のコンクリートを取り除き、取り外し可能な細かいネットを張り、それで水分除去を加速させる予定です。

脱水

脱水は、普通なら機械を使うのでしょうが、当工房では、米袋を使いじっくり脱水させています。まだ粘土の使用量も少ないので今の所、これで充分です。

粘土寝かせ

脱水された粘土は更に寝かせ、必要に応じて次のステップに入ることにしています。

粘土練

画像の説明
粘土練りは、粘土中の粘性度を高める上で重要な作業のようです。ここは、近くの素焼き陶器製造してる人から中古を譲ってもらい粘土練を行なっています。今後の予定ですが、これまでの過程でも除去できなかった不純物を細かく砕く機械も入れていく予定です。
やっぱり上質の粘土にするためにはこの機械の導入は必要な様な気がしています。

粘土寝かせ

練られた粘土は、丸く整形され更に寝かせられます。これで一応、準備段階は終わりです。粘土が使えるようになるためにはなんと多くの工程が必要なこと漸く解りました。

整形

これから、粘土が用途に応じ、形を変えていく段階です。陶工亡ではロクロを使える人は一人しかいません。将来、拡大していくためには、今働いている子供達に少しずつ教えていく必要がありそうです。ロクロを使えるイーゴは、まあ魔法みたいに何でも簡単に作っていきます。ただの粘土が形を変えていく過程を見るのは楽しいものがあります。次の機械のロクロ使いの様子が見れる様にしておきます。

整形は各部ごとに行なわれ、コーヒーカップの場合、本体の部分と取っ手の部分が別々に整形されます。

一次乾燥

整形されたものは、一次乾燥され、削りもしくは、結合の作業ができる程度の強度になるまで乾燥されます。何処まで乾燥させるかは感によるようです。早すぎると崩れるし、遅すぎるとくっつかなくなる可能性が高いようです。

削り・結合

大体、形の整えられたものは、台になる部分、台の内側、厚さが不均一な部分等の削りが行なわれます。上質粘土の場合、これがスムーズに行くのですが、粘土の中に小石等が入っていたりすると削りが上手く行かず、余り良いものができないようです。後、焼いた後にも、不純物があると表面にぶつぶつができたりして余り良いものができなくなる可能性が高いようです。

まあこれで漸く整形され、形が見えてきます。
画像の説明
高台の整形をやってるところです。

画像の説明
側面の削りを行なっている状況です。
この後、数日乾燥させある程度強度が高まった段階で当工房の印が押されます。

画像の説明
当工房の印の位置は陶器下部側面です。

乾燥

画像の説明

削り・結合が終わったものは、更に乾燥の段階に入り、焼きに耐えられるまで乾燥されます。ただし、自然乾燥が大切で、天日にさらすことはひび割れの原因になるのでできないようです。ひび割れるとそこでそれまでの努力が水泡と化します。じっくりと待つことが必要です。天気の具合にもよりますが、この乾燥してる地区でも最低1週間ぐらいはかかります。

ヤスリかけ

火に入れる前に、艶だ出るように、ヤスリかけがなされます。この過程が火に入れる前の最終品質コントロールというところです。

薪採集・薪整形

薪は、製品の出来栄えに大きく影響してきますので、どの様な薪を使うかが問題になってくるようです。当工房では、竹と近くにある枯れ木を使って焼いています。と言っても薪を入れるスペースは小さいですので、薪は事前に整形しておく必要があります。
ブラジルの木は、枯れ木とは言っても、非常に硬いですから整形作業が大変です。薪割りも大変な作業です。まあ買わない部分だけ助かりますが、伐採、整形等で多大な人件費がかかり頭の痛いところです。一回の焼き上がりに必要な薪の量は、15m3ぐらいです。これを購入することになると多額の費用がかかりそうです。

棚入れ

乾燥された陶器は焼くため棚いれされます。何処にどの作品を置くかで出来栄えが違ってきますので、重要な作業です。陶器の中に更に陶器を入れていますので、失敗するとくっついてしまい、失敗作となってしまいます。当工房では、陶器と陶器の間に石灰で作ったものをいれくっつかないようにしてます。日本だとこういうものが簡単に手に入るのでしょうが、此方では入手できないので全部手作りです。

火入れ・燃焼

火入れおよび燃焼は、この過程の中での一大イベントです。現在、最低温度が1230度から1300度になるようにしてますが、これを超すと陶器が棚板にくっついたり、棚板が壊れたりして大変なことになるようです。棚板も一杯壊れましたので新しいのを購入する必要があります。近くにないので遠いところから購入する必要がありこれも頭の痛い問題です。

窯が高温になった時の状況です。

画像の説明
画像の説明
高温の中に並んでいるものが作品となるカップ類です。

画像の説明

この後、炭を投入し、火を止め、ありとあらゆる穴をふさいで行きます。高温のため大変な作業のようです。炭は、還元焼成の効果を出すための物で、これにより赤茶色~赤紫色等の色が現れてきます。この段階で色んな色が付いていくようです。これでしっかり、炭投入口および薪投入口を閉めてじっくり焼き上げるようにしないと、欠陥品になってしまいます。高温ですのでちょっとした作業の手抜きが仕上がりに大きく影響してきます。

窯だし

火を止めてから約4日後ぐらいに漸く窯を開けることができます。2日後に一個あけ、さらに段階的にあけていき徐々に温度が下がるようにしていきます。これも品質を確保する上で重要です。
窯を開けた後の窯の中です。
画像の説明
灰が真っ白くなっていますが、これは炭を入れて陶器の色の変化を起こさせるための物です。

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ヤスリかけ

画像の説明
陶器のガサガサは、子供たちが丁寧にヤスリをかけ手触りをよくしていきます。

水洗い

これが終わって漸く、完成です。と言ってもこの先、販売するまでには大変なプロセスが必要です。

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